救急医療機関における小児事故防止教育プログラムの開発に向け、その基礎的データを収集することを目的として、小児事故の実態と保護者の情報ニーズに関する調査を行った。 調査は、K市内5区の3歳児健診を受診する小児の保護者を対象とし、健診受診時に質問紙を配布し郵送による回答を依頼する郵送質問紙調査とした。調査期間は平成14年10月〜11月であった。質問紙は、基本的属性のほか、事故経験の有無や事故の状況、および事故防止に関する情報ニーズを問う内容とした。 290名からの回答を得、回収率は50.3%、有効回答率は100%であった。保護者の年齢の平均値は父35.3歳、母33.1歳であった。事故経験の有無については、経験ありが115件(40%)なし175件(60%)であり、先行研究同様40%の小児が医療機関を受診するような事故の経験を有していた。事故の種類としては、転落43%、転倒17%、衝突16%が上位を占めていた。事故発生時の大人の在非に関しては、「そばにいて見ていた」47%、「そばにいたが見ていなかった」42%であり、90%近い事故は大人がそばにいるときに発生していた。小児事故に関する情報接触の有無は、「多少あり」、「多くあり」への回答が74%と、多くの保護者が何らかの形で事故に関する情報を得ていたが、「まったくなし」と回答したものも4%あった。情報源としては、「育児書」が23%と最も多く、ついで「友人」17%、「パンフレット等」11%の順であった。保護者の情報ニーズに関しては、「応急処置」では97%、「受診の判断」71%と、事故が発生したときの情報へのニーズが最も多く、ついで「成長発達と起こりやすい事故の傾向」56%、「日常生活上の工夫」51%が上位を占めていた。以上から、転落や転倒といった事故に焦点をあて、受傷時の対応を含めた教育プログラム開発の必要性が示された。
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