研究概要 |
本研究の第一段階では,在宅における身体拘束の実態について看護師の認識を広くとらえることを目的としたうえで,身体拘束の類型化を検討した。 在宅看護に従事する看護師を対象に半構成的な質問項目を用いて面接調査をおこなった。質問内容は,在宅における身体拘束の関わりの実際と身体拘束について不安や懸念を感じた在宅での具体的な状況である。面接内容は許可を得てテープに録音しすべて逐語記録した。研究協力は自由意思であり,個人名・施設名は公表しないことなど倫理的配慮を文書と口頭で説明し同意を得た。 その結果,10名の看護師から得られた27事例中,在宅における身体拘束は25事例あり,次の6つに分類された。明らかに虐待と考えられた2事例は分析から除外した。 1.物理的拘束(部屋に鍵をかける) 2.直接的拘束(ヒモで身体を直接しばる) 3.言葉の拘束(しゃべらせない) 4.拘束衣の着用 5.拘束生活を強いる家族社会的環境(経済的理由で訪問を受けさせない,家族を離さない) 6.介護者自身の時間的拘束(在宅で看る看護者の時間が片時もない) 在宅では痴呆高齢者に限らず知的障害や重度障害の対象者も含まれている。よって,介護者自身の時間的拘束や拘束生活を強いる家族社会的環境も「身体拘束」と看護師が認識していた点に医療施設の看護師とは異なる特徴が明らかとなった。現在,身体拘束について不安や懸念を感じた状況の対処過程を分析中である。 今後は,面接調査の結果・分析をふまえて研究対象数を増して量的に調査する予定である。
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