伸張性収縮を繰り返す激しい運動は、神経・筋の構造や機能特性に影響を及ぼし、筋損傷、NMJ崩壊、脱神経を引き起こす。脱神経は、筋の機能低下を引き起こす一方、支配神経の変換を可能とし、筋線維タイプ移行を引き起こす可能性が考えられる。筋損傷から再生期においてトレーニング(筋活動)に適した筋線維タイプに移行したことから、運動に適応した神経の選択には筋活動が大きく関与し、筋から神経へ情報を発している可能性が考えられる。そこで、BPVC注入後の一旦活動量が下がり再び自発的に活動性が高まる時期の筋活動様式に適応した筋線維タイプへの移行に関して検討を行った。平成14年度は薬物投与によって筋を損傷させた後、トレーニングを行った筋と神経筋接合部の形態変化を観察し、組織化学的染色による筋線維タイプ分類を行う。実験動物は、生後10週齢のfischer344系雄ラットを45匹用いる。筋を損傷させるため塩酸ブピバカイン(BPVC)を用いる。被験筋は、足底筋(PLA)、長指伸筋(EDL)とした。2週間のトレーニングを行った後、BPVCを用いて筋損傷を起こし(TB群)、さらにBPVC注入し持久走トレーニングを2週間行わせた(TBT群)。一方、トレーニング+BPVCコントロール群ももうけた(TBC群)。トレーニング終了後、コリンエステラーゼ染色と銀染色を行い神経筋接合部の観察を行った。BPVC注入3日後には、一時的な脱神経が観察され、BPVC注入2週間後には、神経筋接合が観察された。組織染色結果から、筋線維タイプは、TBCコントロール群では筋線維タイプの移行は認められなかったが、TBT群では、TYPEIIaの増加が認められた。組織化学的に検討した場合、脱神経後、トレーニングに合った筋線維タイプに移行する可能性が大きいことが示唆された。この結果は、来年度のmRNAタイプ移行の指標となった。
|