今年度は、更年期世代が必要としている健康情報や現在の健康に関する知識レベルを問う調査を実施した。対象者は山口・九州圏内に在住の40〜60歳の女性300名であった。また韓国、中国の女性、各100名にも調査をする機会を得たため、日本の特徴を把握する意味も含めて、同様の調査を実施した。調査内容は年齢、職業、家族構成、更年期に関する情報の入手先、更年期に関する相談先(医療機関等)の有無、健康セミナー等への参加状況、必要とする健康支援および現在の生活習慣とした。詳細については分析中であるが、この世代の女性は生活習慣病や更年期障害に関する健康情報を必要としており、特に生活面での運動や栄養の正しい実践方法を得たいとの意見が多かった。それらの健康情報の入手先としては、同世代の友人・知人、テレビ、新聞、雑誌等が多く、地方自治体等が主催する健康セミナー等への参加の有無や回数は個人差が大きかった。また韓国では、情報の入手先にインターネットと答えている者が日本よりも多かった。必要とする健康支援については、健康について気軽に相談できる機関や健康教室の開催などが多かった。生活習慣については、韓国や中国と比較して食生活、運動および休養等に配慮している者が多く、自身の健康状態や検査値を気にしている者の割合も高かった。 これらの調査結果と文献等から更年期女性が必要としていると考えられる健康情報について7項目、120分の講義内容を作成、更年期女性80名を対象に講義を実施し、その情報の有用性についてアンケート調査をした。その結果、受講者の反応は健康に関する理論(生活習慣病等の発症のメカニズム)よりも疾病予防の実践方法の項目で良好であった。 これらの結果から、これまで多く実施されてきた講義スタイルの健康教室よりも講義プラス実習スタイルの健康教室が望まれていること、さらに健康に関する知識や受講回数に個人差が大きいことが明らかとなった。来年度は、これらの調査結果を参考に健康教育プログラムを作成し、実施・評価へと研究を進めていきたい。
|