研究概要 |
本年度は、昨年度の調査結果を参考に健康教育プログラムを作成し、それに基づく介入を実施した。 1.健康教育プログラムの作成:本プログラムは昨年度の調査結果及び先行報告から得られた更年期女性に必要と考えられる講義とその講義に基づいた実習から構成した。1回につき講義を60分とそれに基づく実習を30分の計90分、回数は1週間に1度のペースで計6回、期間は6週間に設定した。講義は調査結果から必要性が高いとされた、生活習慣病、検査値、この世代の女性特有の症状とその治療法(更年期障害)、栄養及び運動といった内容をその専門家が行うこととした。また実習については、講義の内容に則した運動とし、対象者が一人で継続できることや個々人の運動に対する準備性を配慮した指導に重点を置いた。具体的な運動としては、症状の軽減が示唆され怪我の予防にもなるストレッチ体操,更年期症状の一種である骨粗鬆症の予防のための負荷運動としてダンベル体操、生活習慣病の予防や軽減に最も有効とされているウォーキングを採用した。 2.対象者:参加者の募集は地方自治体の広報や新聞にて実施した。対象者の条件として40歳以上の女性で低強度運動の実施が可能な者とした。その結果、39名の応募があった。 3.調査項目:対象者にはプログラムの開始前(第1回目)と終了時(第6回目)に次の項目について調査した。(1)年齢(2)体重、身長(3)職業(4)健康状態(既往歴を含む)(5)喫煙、飲酒等の生活習慣(6)出産経験、現在の月経状態(7)運動行動について(8)更年期症状(9)女性特有疾患についての通院や処方歴(10)QOL(11)健康教育プログラムの評価。(7)の運動行動については、運動の継続化を促進するため、プログラム開始時にOka et al.(2000)が作成した尺度を用いて個人の運動に対する準備性を確認し、それに則った指導を行い、本プログラムによって運動行動の変容段階が移行するかを検討した。さらに実際の運動行動の変化をみるため万歩計を貸与して歩数を記録させ、プログラム参加時に確認した。(8)の更年期症状については,産婦人科でよく使用されている簡略更年期指数(SMI)を使用した。(10)QOLについては、日本語版SF-36を使用した。(11)の健康教育プログラムの評価については毎回の終了時に講義や実習の内容についての評価票を配布し記述してもらった。また、全回終了時にはこのプログラムに関する評価を自由記述してもらった。 現在、介入結果を解析中であり、来年度はプログラムの評価及び学会発表、論文作成を実施する予定である。
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