琉球は地理的・歴史的にもアジア太平洋地域の要として位置づけられる。同地域の舞踊は手指によって多様な心象を表現するという共通の特徴があり、これまでにも手指をはじめとする舞踊技法の類似性が指摘されてきたが、その特性を明らかにした研究は少ない。そこで本研究では、琉球舞踊(祭祀芸能を含む)の技法を最小限の意味のまとまりである所作単元(動作単元)に分類し、1)単元名称、2)意味、3)映像、4)動作特性、5)演者の身体意識(指導言語)等の諸情報が相互に参照できるデータベースの作成を試みた。15年度は、前年に実施した動作単元及び指導言語の調査結果を論文にまとめるとともに、それらのデータを実際に保存・検索するデータベースを試作、下記、国内外の学会にて発表した。 (1)単元および指導言語の抽出法に関する論文の執筆 単元の抽出・単元名称を考案する際の基本方針・指導言語の特徴をまとめ、沖縄学関連の学会誌『沖縄文化』(原著・査読誌)に公表した。 (2)日英両語によるデータベースの試作と検討 上記の諸データを保存し、相互に参照・検索するためのデータベースを試作した。作成にあたっては、日英両語でテキスト表示し、海外の研究者にも使用してもらうよう企図した。その成果を、比較舞踊学会および1^<st> Worldwide Uchinanchu Conference(於 ハワイ大学東西センター)で発表、アジア太平洋地域舞踊の研究者や実演家から多くの助言を得た。
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