研究概要 |
本研究は、蹴動作の発現時期であると考えられる歩行開始前後の時期から3歳前までの乳幼児を対象とし、発現時期、発現に関与する身体的能力、動作様式の特徴と発達に関する実験的分析、および、遊びにおける蹴動作の発現、質問紙法による他の動作との発達の関連を検討することを目的としている。平成14年度は、蹴動作の発現と発達について、動作の可否に関する実験的検討と自由遊びにおける発現動作の種類と頻度に関する観察的検討を行った。主な結果を纏めると以下のようになる。 1.蹴動作の可否と片足支持時間に関する実験的分析 (1)蹴動作は、1歳児(平均月齢19.1±3.1ヶ月)において、最も月齢の低かった13ヶ月男児も含め84.2%の幼児が可能であった。 (2)全対象児(平均月齢21.8±4.5ヶ月)の成就率、片足支持時間において、性差は認められなかった。 (3)1歳児の蹴動作における片足支持時間は、平均0.34±0.18secであった。 (4)全対象児の月齢と片足支持時間には、有意な相関関係が認められた(r=0.380,p<0.05)。 (5)蹴動作は、発達スクリーリングで示される1歳後半よりも早い時期に可能になることが示唆された。 2.自由遊びにおける発現動作の種類と頻度に関する観察的検討 (1)平衡系の動作に費やした時間は、加齢に伴い次第に減少する傾向が認められた。移動系の動作に費やす時間は、加齢に伴う明確な変化は認められなかった。 (2)下肢の操作系動作は、1歳後半の時期に増加傾向を示した。踏む動作は、観察されなかった。上肢の操作系動作では、持つ・運ぶ・渡すなどの動作が、加齢に伴い増加傾向を示した。 (3)下肢の操作系動作の発現頻度は上肢の操作系動作と比較して低く、発現した場面は、保育者や他の幼児との関りにおいてであった。
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