研究概要 |
本研究は、聴覚障害幼児の運動能力および平衡機能を測定し、そのスタンダードを作成すること。さらに運動環境を含む生活環境との関連を検討し、聴覚障害者と健聴者との運動能力の差が何に起因するのかについて明かにすることを目的として,3年次計画で遂行されている。今年度はその初年度として,以下の項目について実施した。 1.測定用具の作成・準備 2.調査対象校の決定および打ち合わせ:幼稚部を持つ聾学校を全国で9ブロック(北海道,東北,関東甲信越,中部東海,北陸,近畿,中国,四国,九州沖縄)に分け,各ブロックより1校以上を調査対象として依頼した。その結果36校から研究協力の回答を得ることができ、次年度に実施する測定についての打ち合わせを実施した。 3.予備調査の実施:調査対象校より予備調査協力校(T聾学校,O学校,Mろう学校)を選出し,当該校における資料収集、予備実験、およびビデオ撮影を実施した。 1)在籍する幼児の月齢・性・形態(身長,体重)・障害の程度 2)運動能力テスト試行 3)生活環境、活動時間と内容、活動量の調査 4)対象校のネットワーク環境 4.動画マニュアルの作成 予備調査の結果,運動能力テスト6種目(東京教育大学体育心理学研究室作成の運動能力検査に捕球を加えたもの)は,保育担当者がマニュアルを基に準備・測定を行う方法で実施できることが確認された。さらに,予備調査終了後,実施において注意が必要であると思われるところに画像(ハードコピー)または動画(WEB)による解説を加えた実施マニュアルを作成した。これらは平成15年4月に実施対象校へ配布・配信の予定である。また,聴覚障害以外の障害を併せている幼児もいるため,測定条件に適応できない場合は調査対象から除外することとした。次年度は,今回の予備調査をもとに全国規模での測定を実施する予定である。
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