60歳から85歳までの健常高齢者500名に対し15項目の体カテスト、24項目の健康調査、及び84項目からなる成長期から現在までの生活状況調査を実施した。生活状況が複合的に高齢期の体力にいかなる影響を及ぼしているのかを検討するために、体力テスト結果から体力因子を抽出し各体力因子得点を基準変量、生活状況を説明変量として数量化理論第I類を実施した。 解析の結果、高齢者のすべての体力要素において、成長期から現在までの生活状況が複合的に有意な関連を及ぼしていた。また、高齢者の筋力には現在の身体活動状況、体捻転柔軟性には成長期の適度な運動及びバランスのとれた栄養摂取、四肢の敏捷性には現在の身体活動量及び成長期の健康状態と栄養摂取、体前屈柔軟性には成長期以降の運動実施及び日常生活習慣、全身の反応性には最近5年以内の運動実施状況、平衡性には現在の食生活及び成長期から壮年期にかけての運動実施、呼吸機能には現在の生活習慣、体力総合には現在の生活習慣と健康状態及び青壮年期の栄養摂取と運動実施が有意に影響を及ぼしていることが明らかになった。 つまり、体力要素によって影響を受ける生活条件が異なることから、ウイークポイントである体力要素の改善には、それぞれ強く影響を及ぼす生活条件を適正に改善する必要があると考えられる。 今後は、健康要素についても上記と同様な方法で分析を進め、さらに、それぞれのライフしタイルをパターン化し、成長期から高齢期に渡る体力及び健康の維持・増進に望ましいライフスタイルパターンを検討する。
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