研究概要 |
本研究が日指す地形災害モニタリングの例として,2000年三宅島墳火を対象にして予察的な研究を行なった.平成14年度の研究内容は,(1)三宅島における泥流マップの作成,(2)ASTER衛星画像からのDEM作成技術の確立(3)DEMの重ね合わせに関する研究の三項目である. (1)の泥流マップの作成は昨年度からの研究の継続であり,三宅島噴火後の三時期にわたって作成した泥流マップをGIS(地理情報システム)上に構築した.これは正射投影変換した空中写真を用いて泥流を判読してマッピングしたものであり,従来の手法によく見られた地形による歪みを,なるべく少なくする手法を用いている.(2)のASTER衛星画像からのDEM作成については,従来のSPOT衛星からのDEM作成手法を応用し,ASTER衛星に固有のパラメーターを入力することによ比較的精度の高いDEMが作成できることを確認した.(3)については時期の異なるDEMを比較してその間の地形変化を定量的に見積もるという,本研究課題の目的を果すための必須の項目である.DEMにはそれぞれ実座標が付与されており,理論的には時期の異なるDEMの変化量を求めることによりその間の地形変化量を求めることができる.しかし,きちんと座標が対応づけられているDEMを用いたとしても,個々のDEMが作成された時点のわずかな歪みにより.必ずしも正確に複数のDEMが重なるとは限らない.三宅島の噴火前と噴火後のDEMを比較したところ,違DEMの座標の違いに起因する誤差が,実際の地形変化量を上まわるような場所も確認されている.このため,これらの誤差を最小限におさえるための手法を新たに開発し,11月に開催された国際学会においてその概要を発表した.
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