本研究では、メソアメリカ地域、ことに、エルサルバドル共和国西部〜グァテマラ南部地域において、各方面の研究に有用な火山灰(テフラ)データベースを構築する上で、まず最初の足がかりとなる巨大噴火によるテフラの層序・分布を明らかにすることを目的としている。そのため、平成14年度には、文献収集、ならびに、エルサルバドル西部地域において、現地踏査および火山灰試料の採取を行ったが、平成15年度については、これをふまえ、以下のような調査・研究を行った。 1.エルサルバドル西部地域において追加の現地調査を行った。 2.エルサルバドル共和国国土研究所(SNET)の研究者とともに現地討論を行い、エルサルバドル西部地域において、グァテマラ共和国内の火山を起源とするテフラが同地域に分布することを確認した。 3.これまで採取されたテフラ試料について、岩石学的特徴について分析を進めた。 4.エルサルバドル共和国内の調査において、支援・協力を頂いてエルサルバドル共和国文化省遺産局(CONCULTURA)に対して、これまでに得られた成果について、報告書を提出した(2004年4月印刷予定)。 5.グアテマラ共和国領内での現地踏査は、年度の前半、グアテマラ共和国の治安の悪化が伝えられたため、慎重を期して行わなかった。2003年12月の大統領選挙柊了後、治安の回復が伝えられ、また、グアテマラ地震・火山・気象・水文研究所(INSIVUMEH)を訪問した際に、今後の現地踏査への協力を再度確認することができた。 平成16年度には、エルサルバドル国内で見いだされたテフラをグァテマラ共和国内へ追跡し、巨大噴火のおよんだ範囲を明らかにするとともに、テフラ試料と分析をすすめていく。また、得られた成果について、エルサルバドル共和国ならびにグァテマラ共和国の協力機関に報告するとともに、国際誌への発表を行っていく。
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