研究概要 |
日米比較調査 日本とアメリカの大学生を対象に質問紙調査を行い,分析を行った。従属変数として,節水,省エネ,リサイクル,リユースなどの行動を測定した。それぞれの項目数が少ないため,従属変数としてはこれらの変数を単純加算平均した合成変数を用いた。環境配慮行動については,行動分野によって文化による影響に違いが見られたが,全般的には日本人の方が実行度が高い傾向が見られた。行動の規定因としては日本では重要な他者からの期待が行動意図に有意な影響を及ぼしていた。アメリカでは国全体での実行度予測が行動に直接の影響を及ぼしていた。日本では身近な人との人間関係が重要であるため,他者からの期待に敏感であると考えられる。 日独比較調査 日本とドイツの大学生を対象に質問紙調査を行った。質問紙は日米比較調査とは異なるものを用いた。日独の比較に際しては,行動分野ごとに特定の行動について詳細に分析するため,3R行動,省エネ,交通行動,市民活動の各カテゴリーについて行動の実行度と他者の実行度予測,個人規範,主観的規範,深刻度の認知,行動意図などの認知変数をそれぞれ尋ねた。質問項目の選定においては予備調査の結果を参考にした。質問紙は最初に英語で作成し,それを各調査者が日本語とドイツ語に翻訳した。分析の結果,行動の実行度については,交通行動は日本の方が実行度が高く,3R行動はドイツの方が実行度が高かった。実行度予測について,市民活動以外では日独とも身近な人の実行度予測の方が国全体の実行度予測よりも高かった。行動の規定因については,行動分野によってそれぞれ異なる傾向を示した。 日独での予備調査の結果について論文にまとめ,学術誌に投稿を行った。
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