研究課題
申請者は、タイ北部の山岳少数民族(カレン族、モン<メオ>族)を対象として、フィールド調査を行い、それぞれの民族がもつ伝統的な民族服を製作するために必要な技術要素の伝習プロセスを明らかにして、習授法としての特徴を探索するとともに、民族服製作技術の相互関係とシステムを明らかすることを目的として、この課題に取り組んでいる。今年度は、本課題の目的を遂行するために、昨年度、タイ国チェンライ県、チェンマイ県において、タィ国文部省第8管区教育局、チェンマイ県教育庁、及び山岳少数民族に対するNGO(N団体)の協力をもとに、カレン族、モン族の小学生(11才以上)、中学生、高校生約400名を対象として行った民族服製作技術の習得状況についての質問紙調査から得られたデータを用いて数量的解析を行った。質問は、それぞれの民族がもつ伝統的な民族服を製作するために必要な原材料の栽培及び加工、紡績、染料作り、染色、機織り、縫製、装飾等の技術要素について、それぞれどの程度習得しているかを問うものである。なお、伝統的な民族服を製作するために必要な技術要素は民族によって異なるので、質問紙をカレン族とモン族についてそれぞれ準備した。数量的解析では、項目反応理論を用いた。この解析によって算出される各技術要素の困難度と識別力の値から、各技術要素についての絶対的な難易度を測定・評価するとともに、技術要素の習得難易度、及び順次性を民族別に明らかにした。さらにはそれぞれの民族について年齢階梯と、技術習得の臨界時点を探求し、民族服製作技術の習授法としての特徴を探索するために必要な情報の一部を得ることが出来た。
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