研究概要 |
豆腐と卵白のゲルについて,研究をおこなった。 1.豆腐に関する研究 絹ごし豆腐について,圧縮試験による力学物性測定と共焦点レーザー走査顕微鏡によるミクロ構造の観察をおこなった。豆腐の圧縮試験から得られた応力-歪み曲線をBST式でよくあらわすことができ,破断応力,破断歪み,ヤング率,弾性パラメーターnの4つのパラメーター値を抽出することができた。共焦点レーザー走査顕微鏡を使用することで,豆腐を固定せずにそのままの状態でタンパク質と油滴を特異的に観察でき,1mm程度の厚さがある試料を用いてもタンパク質のネットワーク構造と油滴の状態が画像として得られた。圧縮試験で求めた力学物性値はタンパク質のネットワーク構造とよい相関が見られ,油滴の状態とは相関がみられなかった。力学物性値への寄与は,主にタンパク質のネットワーク構造によるものであることが考えられた。 2.卵白のゲルに関する研究 卵白ゲルのミクロ構造に100℃以上の加熱温度が与える影響について,共焦点顕微鏡を使用して研究をおこなった。100℃から160℃の加熱温度で,10%濃度の乾燥卵白溶液を5分間加熱して得られたゲルのミクロ構造を調べたところ,160℃加熱で著しい構造変化が観察された。この構造変化は卵白の濃度を10%から40%へと上げるに従い,小さなものとなった。10%濃度の卵白溶液に対し,160℃で加熱する時間を変えて得られたゲルのミクロ構造を観察したところ,ミクロ構造の著しい変化は4分以上の加熱で起こることがわかった。今回得られた結果と,先に報告した応力緩和測定の結果の関係について比較検討をおこなった。
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