研究概要 |
日常的に緑茶を飲用する方法で、得た緑茶抽出液(抽出温度:80℃,70℃,37℃,1〜8煎目)を試料とし、HPLC法により、主要な4種のカテキンの含量を測定した。また、緑茶抽出物の抗酸化活性、ラジカル捕捉活性、抗変異原性を検討した。その結果、(1)使用する熱水の温度は70〜80℃にすること、(2)茶葉は2〜3煎で取り替えることが望ましいことが明らかになった。また、13都道府県14地域の一般家庭で日常的に飲用されている緑茶浸出液をサンプリングし、湯呑み茶碗一杯分(100ml)の浸出液中のタンニン量、カテキン量を測定した。これらの濃度と試料採取地域の胃がん標準死亡比(SMR)との相関を調べたところ、緑茶浸出液のカテキンの含量はタンニンのほぼ半量であり,緑茶生産地域の緑茶中のタンニン量やカテキン量は非生産地域のそれらと比べて多いことを確認した。緑茶浸出液中のタンニン量やカテキン量と胃がんSMRとの相関関係を有意水準0.05にて検定した結果,勇性のSMRはタンニン量及びカテキン量との間に有意な相関を示した。また,女性のSMRはタンニン量とのみ有意な相関を示した。以上の結果から,我々が日常的に飲用している緑茶には抗酸化性,抗変異原性等の生物活性を期待できること,また,そのカテキン濃度が胃がんの予防に関与していることなどが示唆された。サンプリング実験については今後、精度を上げるために,調査地点と各調査地点毎のサンプル数を増やし,さらに調査時期を変えて複数回調査し,一日当たりの緑茶摂取量と疾病との関連について把握するアンケートなどを行う必要があると考えている。
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