平成14年度の研究より、オリーブ葉抽出物であるオレウロペイン(0.2%含有飼料)の投与により、2型糖尿病モデルマウスであるKK-Ayマウスの摂食時血糖値がコントロール群と比較し有意な上昇抑制を認めた。さらに、インスリン値およびインスリン負荷試験の結果より、末梢のインスリン抵抗性を改善する可能性を示唆した。また、コントロール群と比較しオレウロペイン投与群において体重には有意な差異を認めないものの摂食量に有意な低下を認めた。この摂食量の低下が、摂食時血糖値を低下させる可能性が考えられる。そこで、平成15年度の研究においては摂食量の低下が血糖値におよぼす影響について検討した。 まず始めに、オレウロペイン含有濃度の違いによる摂食量への影響を検討した。実験動物にはKK-Ayマウスを用いコントロール群(標準食AIN-76)、濃度別オレウロペイン含有食群(0.01%〜0.5%含有)の7群にて実験を行った。その結果、血糖値はコントロール群と比較しオレウロペイン含有食群において濃度依存的に低下した。摂食量についてもコントロール群と比較してオレウロペイン含有食群において濃度依存的に低下することが分かった。このことより、オレウロペイン投与が摂食量低下に影響している可能性が示唆された。そこで、摂食量をオレウロペイン含有食群と同じになるようにした群(pair-fed)を作り、摂食量の影響をなくし、オレウロペインそのものの血糖値におよぼす影響について検討した。その結果、摂食量を同じにしても血糖値がコントロール群と比較し有意に上昇抑制を示した。このことより、オリーブ葉抽出物であるオレウロペインそのものが2型糖尿病モデルマウスの血糖値の上昇を抑制する可能性が考えられる。その作用機序については、現在のところ不明であるが糖の消化吸収への影響、インスリン抵抗性の改善などを含め今後さらに検討していきたい。
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