研究概要 |
H14年度は小腸上皮細胞による抗原取り込みにおけるインターフェロンγの作用機序を解明するべく,以下の検討を行った。 1.Caco-2細胞lysateによるオボアルブミン(OVA)の限定分解の検討 本研究者は以前,Caco-2細胞をOVAが通過する際にプロセシングされること,特にインターフェロンγ処理した細胞では分解が亢進することを明らかにした。しかしながらCaco-2細胞そのものを酵素源としてOVAが分解されるかどうかについては未検討であった。そこでOVAとCaco-2細胞のlysateをインキュベートしたところ,OVAは確かに細胞内の酵素によって分解をうけることが示され,しかもインターフェロンγを処理した細胞では分解が亢進する傾向にあった。 2.OVAの分解に関与するリソソーム内プロテアーゼの検討 これまでの研究で,Caco-2細胞の培地にOVAを添加して,これらを共培養させたときにOVAが限定分解されることを明らかにしたが,これはCaco-2細胞そのものを酵素源として得られた結果ではなかった。そこで今回はCaco-2細胞のlysateとOVAをインキュベートした時のOVAの分解をリソソーム内酵素であるカテプシンBとDのインヒビターが抑制するのかどうかを検討した。OVAの分解はカテプシンBとDのインヒビターの添加によって抑えられ,これらのプロテアーゼの関与が示された。 3.今後の課題 インターフェロンγがこれらのリソソーム内プロテアーゼを亢進させるのかどうかを,カテプシン測定キット等を用いて検討していきたい。
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