研究課題
ポリフェノール化合物であるケルセチンとEGCG、ケルセチン配糖体(ルチン)、ルテオリン配糖体(ルテオリン-7-グルコシド)とクロロゲン酸について、100℃および180℃で加熱した場合の抗酸化活性と総ポリフェノール量、個別定量による各ポリフェノール量の変化を検討した。その結果、ケルセチン、EGCGともに100℃で60分加熱しても、抗酸化活性はほぼ100%保持されていた。180℃、45分加熱では、ケルセチンで活性は80%保持されていたが、EGCGでは消失していた。加熱後のケルセチンとEGCGの定量をおこなうと、両者とも加熱により分解していたが、この加熱分解生成物も活性を有していることが明らかとなった。また、ルチン、ルテオリン、ルテオリン-7-グルコシド、クロロゲン酸は、100℃では、360分加熱を行っても、活性、総ポリフェノール量、ポリフェノール化合物定量の全てにおいて、85〜95%保持していた。180℃では、180分加熱で活性の残存率は10〜15%にまで減少した。個別定量すると、15分加熱で急激に減少し、180分では全く消失した。クロロゲン酸は、加熱によりプロトカテキュ酸やカフェ酸に分解していた。そこで、ルチンとクロログン酸を混合し加熱を行なったところ、クロロゲン酸の分解により、ルチンの加熱分解が押さえられていることが明らかとなった。従って、複数の抗酸化化合物の存在は、調理操作が加わっても、その食品の抗酸化活性や化合物自身を保持していると考えられる。また中高年層を対象に、日常の食生活と栄養補助に対する意識についてアンケート調査を行なったところ、市販されているサプリメントを利用したことがある人は48.1%であった。しかし、サプリメントの定義は明確に認識されていなかった。サプリメントの中では、ビタミンCの利用が最も多く利用されていた。各食品の摂取頻度とサプリメントの利用の間に関連はみられなかったが、サプリメントを利用している人は、生活習慣病に対する関心が高いことが明らかとなった。
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