研究概要 |
【目的】天然食材であるウコギを用いて、生食用食材の品質保持(抗菌、酸化防止、鮮度保持)に有効な成分や効果を明らかにし、それらを大量調理食材へ応用することを目的とする。平成14年度はまず、ウコギの抗菌活性、抗菌成分を明らかにすることを目的に研究を行った。 【方法・結果】 (1)ペーパーディスク法によるウコギの抗菌試験 凍結乾燥粉末にしたウコギ葉を水および沸騰水で抽出し、抗菌試験用溶液とした。これをペーパーディスク法で、Escherichia coli IAM 12199,Bacillus cereus IAM 12605,Staphylococcus aureus IAM 12544,Salmonella typhimurium IFO 12529に対する抗菌性を確認した。また、次亜塩素酸ナトリウム溶液、酢酸溶液、紅茶、緑茶とも比較した。その結果、ウコギは、水抽出液より沸騰水抽出液で高い抗菌性が認められた。またウコギは、紅茶、緑茶、1ppm次亜塩素酸Na溶液よりも高い抗菌性を示し、1%酢酸溶液とほぼ同等の抗菌性を示した。 (2)ウコギ溶媒分画液の調製 ウコギ沸騰水抽出液をメタノール、酢酸エチル、ブタノールで分画し、減圧濃縮後、蒸留水で液量補正し、抗菌試験用溶液とした。 (3)溶媒分画液による抗菌試験 (1)で用いた4細菌に対してペーパーディスク法、比濁法で抗菌性および菌体増殖抑制効果を検討した。ブタノール分画液が最も高い抗菌性を示し、中でもStaphylococcusに対して効果が高かった。菌体増殖に対しては、酢酸エチル分画液を培地に添加し5℃で培養を行うと、いずれの細菌に対しても培養4時間までに強い細菌増殖抑制効果が認められた。
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