本研究の目的は、幼児における箸使用開始期の食行動発達に対応した食育プログラムとその評価方法を開発することである。 昨年度は、研究1として、箸を使い始める幼児の家庭での食事場面の事例研究を継続し、特に兄弟間の箸使いを巡るやりとりについて分析を行った。研究2として、保育所の同一の食事にてフォークと箸の食具の違いによる使用行動の違いと横断的な発達的変化、研究3として、保育者・養育者を対象としたグループフォーカスインタビューの質的な分析によりプレ調査を行い、準備をすすめてきた。 今年度は、幼児のスプーンから箸への使用行動の発達を把握できるチェックリストを作成するための基礎資料として、東京都(板橋区、練馬区、葛飾区、世田谷区、及び多摩地区)、山梨県の保育所800園を対象として、保育所での箸使いをめぐる食育の実践状況についての質問紙調査を実施した。調査内容は、食育の教育内容全体に対する箸使いの教育の意義、食育の実施時期の選択方法、アセスメントの方法、教材、教育評価の実態、そして、保育者としての食育へのニーズである。この結果を基に、「幼児の箸の使用行動発達を把握できるチェックリスト」を提案することができた。 来年度は、以上の結果を基に、箸の選択のポイントをもりこんだパンフレット教材を作成し、その有効性を確認したい。
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