14年度は予備実験ならびに試験体の作製を行った。 予備実験 (1)SS400(軟鋼)とFC250(片状黒鉛)の2種類の鉄板それぞれを、3%の塩化ナトリウム水溶液と3%硫酸ナトリウム水溶液に浸漬した。数回浸漬と乾燥を繰り返した後、高温高湿度下に置き腐食成生物を発生させた。 (2)トルマリン水に浸漬し脱塩を行った。溶出した陰イオンはイオンクロマトグラフィーにより測定を行った。 (3)腐食成生物の変化を観察した。 トルマリン水に浸漬した状態からは鉄板に新たに錆が発生した様子は確認されず、安定化の方向に向かっているように見えた。トルマリン水の中でも比較的安定した状態にあると判断できることから、脱塩処理法として実用への可能性があると考えられる。 試験体の作製 (1)鉄粉を塩化ナトリウム(NaCL)3%水溶液に浸してから、鉄粉圧縮体(サンプルA)を作製した。(サンプル全体に塩化物イオン(CL-)が存在し、まんべんなくβ-FeOOH(赤金鉱)が発生するようにするため) (2)鉄粉を硫酸ナトリウム(Na2SO4)3%水溶液に浸してから、鉄粉圧縮体(サンプルB)を作製した。(サンプル全体に硫酸イオン(SO4-)が存在し、まんべんなくγ-FeOOH(鱗鉄鉱)が発生するようにするため) (3)鉄粉に鋳鉄資料から採取した錆を混ぜ合わせ鉄粉圧縮体(サンプルC)を作製した。(鋳鉄資料のモデルとするため) (4)サンプルA・B・Cを高湿度の環境に放置し錆を発生させた。 (5)走査型電子顕微鏡・光学顕微鏡により腐食生成物の観察を行った。 (6)ケイ光X線分析(XRF・現有)により腐食生成物の同定を行った。
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