研究概要 |
学習プログラムの作成を目的として,ツル類を活用した環境教育の現状を把握するために,鹿児島県出水地方2市4町の公立小,中学校の理科担当の教員を対象としてアンケート調査を行った。この結果,生物の知識を有する教員は少なく,国の特別手然記念物であるツル類に対しては,名前だけは知っていても,生態などの知識が不足し,あるいは誤った知識が広く伝わっていることが判明した。そのため,ツル類は学習資源として積極的に活用されていないことがわかった。また,学習対象として使いたくても,画像や資料などの素材の所在が不明だったり,自由に使える素材が不足したりしており,結果として教材としては使えないとの意見も多く見られた。 これらの結果をうけ,ツル類に関する教材作り(資料集)に着手した。まず,詳しい生態を文献等により調査し,それをまとめた。その中には,標識調査や保護の歴史といったものも入れ込み,表現は専門用語を極力避けた形にした。また自然に関しては,地元博物館の協力を得て,未発表の調査データも一部入れさせてもらった。この教材は試行的なものであり,内容は教員や学芸員と話し合い,手直しを行った。また、この資料集とは別に,ツル類をはじめとした,主に野鳥や植物などの生物の写真を20種程度収集し,デジタル図鑑として編集した。 教材作成後,協力申し出のあった小学校(1校)と博物館(1館)において作成した教材を用いて,環境学習の試行を行った。
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