研究概要 |
本年度は,グループ学習支援のための学習指導システムを開発するため,まずグループ学習の有効性を検証した。この検証のためのソフトウェア教材を開発し,その効果を定量的・定性的に評価した。 具体的には,グループ学習の一学習形態であるグループ内学習の効果を検証するために,ネットワークを利用した乗法九九のドリル型学習用教材を作成した。この教材は,ネットワークを利用してリアルタイムに他の学習者と乗法九九の解答の速さ,正確さを競争するための教材である。さらに,この教材には,学習意欲を向上させる方法として指摘されている,(1)知的好奇心に訴える方法,(2)学習の結果を知らせる方法,(3)競争させる方法,(4)賞罰を与える方法の4つの方法を取り入れ学習意欲の向上も図った。この教材を用いて実験授業を行った結果,以下のことが分かった。 (1)解答速度の向上:繰り返し訓練するドリル型の学習方法が,乗法九九の解答速度を向上させるのに有効であることが分かった。 (2)解答の正確さの向上:解答の正確さを向上させるには,ネットワークを利用し,他者と競争することができる本教材が有効であることが分かった。 (3)学習意欲の向上:ネットワークを利用して他の学習者と競争することができる機能を付加することが,学習意欲を向上させるのに有効な手段であると示唆される結果が得られた。 以上のことから,ネットワークを利用したグループ内学習が,学習の効果の向上に有効な手段の1つであることが分かった。平成15年度は,この結果を基に,グループ学習におけるコミュニケーションの効果を定量的・定性的に検証する。さらに,これらに基づいて,ネットワークの経路選択の仕組みをグループ学習により効果的に教授する手法を検討する。
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