研究概要 |
本年度は,グループ学習支援におけるコミュニケーションの効果を検証することを目的に,ソフトウェア教材を開発し,実験授業を行った.その結果を,定量的・定性的に検証した。 具体的には,従来のグループ学習の問題点である,コミュニケーションの不成立や学習意欲の減退等を改善することを目的に,ネットワークを用いた同期型のグループ学習支援教材を作成した。この教材の特徴は,無作為に選択された学習者(最大4人)を1つのグループとし,そのグループごとに学習が行えることと,グループ内で速く正答が分かった学習者が,正答できない学習者にヒントを送り,分からない学習者を補助できるようにしたところにある。 この教材の効果を検証するために,本教材を用いた実験群と従来のグループ学習を行った統制群を設定し実験授業を行った。その結果,以下の事が明らかとなった. 1 本教材を用いた実験群の方が,学習効果が高いことが分かった。これは,ヒントの送受信による教え合い(コミュニケーション)が,学習効果を向上させたと考えられる。 2 習熟度の低い学習者に対して,学習効果が顕著であることが分かった。これは,本教材のグループ間競争機能により,「他のグループに負けたくない」等の意識から,全ての学習者がコミュニケーションを活発に行ったためと考えられる。 3 本教材を用いることで,グループ内の教え合いが活発になることが分かった。 4 意識調査の結果から,本教材を用いた授業では,学習意欲が向上することが分かった。 以上のことから,グループ学習においてネットワークを利用して,適切なコミュニケーションの手段を学習者に与えることが,学習の効果の向上に有効であることが分かった.平成16年度は,この結果を基に,ネットワークの経路選択の仕組みをグループ学習により教授する学習指導シテムを開発し,その効果を定量的・定住的に検証する。
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