本研究では、分散協調型学習環境におけるエージェント構成方法を提案するために、その構成要素であるエージェントに関する研究を実施し、それらを分散協調型学習環境として実装して教育的および技術的観点から学習環境の実践・評価を行う。本年度は以下の研究項目を遂行した。 (1)分散協調型学習環境上における教育タスクの抽出 分散協調型学習環境において、学習形態(個別学習、協調学習、一斉学習)に応じた教育タスクを抽出した。 (2)教育タスクを遂行するエージェントモデルの設計 教育タスクを遂行するためのエージェントモデルを探求し、知識工学的手法に基づき設計した。特に、表現モデルの設計と実装、エージェント間通信時の通信用パフォーマティブの分類と設計を行った。 (3)協調プロトコルの抽出と設計 教育タスクを遂行するエージェント間(教授エージェント間及び学習アシスタントと教授エージェント間)の協調的活動から協調プロトコルを抽出し、設計した。その際、教育タスクを実行する人間間の協調的活動に関する認知的実験を実施した。また、協調時にエージェントが動的に協調プロトコルを変更するための適応的プロトコル変更機構についての可能性について検討した。
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