本年度は、次の三点を中心に研究を遂行した。 (1)アメリカにおける批判的思考教授プログラムの調査研究 アメリカカリフォルニア州ソノマ州立大学において、7月に行われた批判的思考国際研究会に参加し、批判的思考教育に関するワークショップを通じてその方法論を学んだ。また、主として批判的思考教授プログラムや教材に関する資料を収集し、目標および教授方法を中心に内容の分析を行った。 (2)小・中学校における批判的思考教授に関する基礎的研究 東京都品川区の小・中学校3校の協力を得ながら、批判的思考力の育成を目標とした単元開発および授業実践を試行した。実践にあたっては、教科の枠にとらわれない内容とするとともに、それに見合う教育目標を設定するための批判的思考技能を、これまでの先行研究をもとにモデル化した。開発、実践された単元としては、「売り込み大作戦(小6)」、「ニュースを読む(中1)」等があるが、これらの評価および改訂については次年度の課題である。 (3)「総合的な学習の時間」およびメディアリテラシーに関する基礎的研究 「総合的な学習の時間」がどのような理念の下に行われ、批判的思考教授とどのように関連づけられるかについて、その可能性を文献研究を中心に明らかにした。またメディアリテラシーや「総合的な学習の時間」の実践について、情報に関する分野を中心に事例収集を行った。
|