研究概要 |
今年度は,「マルチメディアを活用した実験授業における聴覚障害学生の情報共有」,「学生のもつ質問意図を分析し,的確な情報提供」を重点テーマとして,実際の実験授業を対象に研究を進めた. 「情報の共有化」に関して,教師側のデータとしてホワイトボードに書かれたものを電子化するデバイスを利用すると共に,学生が使用するノートパソコンに手書きA4サイズまでの手書きデータを紙に残すだけでは同時に電子化し,サーバを経由し共有することを行った.また,「質問意図の理解」に関しては,実験テーマに合わせた概念拡張型の検索システムを構築することで従来の質問検索に比べてより意図を反映した結果が得られた.しかし,未だ本システムでは語彙の規模などが不十分であるため,今後これらの問題点に対して辞書の充実やより人間の意図に近づいた検索が図れるものに改善する必要がある.最後に「情報提供」では,FLASHを利用してインタラクティブな情報提示を試みた.文章だけでなくアニメーションや実際の画像などを用いた作業手順の説明などでは,より理解を深めたものになっているが,個別の質問に対しては改善の余地が残るものとなった. 現在のシステムは,学生への理解度の向上に対して一定の成果が得られるものの,まだ対象とする領域が不十分であり,辞書やコンテンツの充実が必要とある.今後はこれらの点を踏まえ,より聴覚障害学生の理解を促すようなシステムの拡充を行っていく.
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