研究概要 |
本研究の目的は,多数の遠隔地が接続された状況で,操作が容易で,高音質の音響システムを構築することであり,操作技術を知らない者でも扱える音響システムの構築を目指す.多地点接続可能で通話品質の優れた音響システムに,多チャネルエコーキャンセラと多チャネルオートゲインコントローラを組み合わせた装置を構築する.さらに,遠隔授業に臨場感を与えるため,複数の回線を利用した立体音像制御を取り入れたシステムの構築するため,提案するアルゴリズムを検討してのステレオ化にも対応できるエコーキャンセラを構築する. まず,提案している手法は,アフィン射影アルゴリズムの可変ステップゲイン計算法であり,この計算法は,各チャネルの音量に応じたステップゲインを算出するため,これまでのエコーキャンセラに組み込まれていた適応アルゴリズムの制御用音声スイッチが不要になる利点がある.そして,マルチチャネル・エコーキャンセラの構築とチャネル間の相関の影響の調査を行った.音像制御ができるようにするため,相関に対するエコー処理をコンピュータシミュレーションにより解析した.すでに提案しているマルチチャネル・エコーキャンセラに対し,チャネル間の相互相関が0.33と比較的大きな場合において,わずかの伝達経路の変化では影響が出ず,大きな伝達経路の変化で2倍の推定時間がかかるが,推定は可能であることを確認した. 次に,オートゲインコントローラがマルチチャネル・エコーキャンセラに与える影響の調査を行った.提案するマルチチャネルエコーキャンセラに自動音量調整機能を付加させるため,適切な音量調整について,シンプルなAGCでも有効であることが確かめられた.
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