研究概要 |
本研究の目的は,多数の遠隔地が接続された状況で,操作が容易で,高音質の音響システムを構築することであり,操作技術を知らない者でも扱える音響システムの構築を目指す.多地点接続可能で通話品質の優れた音響システムに,多チャネルエコーキャンセラと多チャネルオートゲインコントローラを組み合わせた装置を構築する.さらに,遠隔授業に臨場感を与えるため,複数の回線を利用した立体音像制御を取り入れたシステムの構築するため,提案するアルゴリズムを検討してのステレオ化にも対応できるエコーキャンセラを構築する. まず,提案している手法は,アフィン射影アルゴリズムの可変ステップゲイン計算法であり,この計算法は,各チャネルの音量に応じたステップゲインを算出するため,これまでのエコーキャンセラに組み込まれていた適応アルゴリズムの制御用音声スイッチが不要になる利点がある.そして,マルチチャネル・エコーキャンセラに対する音声信号の影響を調査した.無音区間が推定の遅延を生じさせるため,48kHzホワイトノイズの推定時間に対し2〜4倍(サンプリング周波数16kHz,FIRフィルタ2072タップ,日本音響学会データベースの連続音声)の推定時間が必要であることを確認した. また,DSPを用いてエコーキャンセラの構築を行い,サンプリング周波数10kHzでFIRフィルタ100タップで適応アルゴリズムの動作を確認した.シミュレーションと同等の性能にするためにはプログラムの最適化が必要であることを確認した.
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