研究概要 |
本研究の一年目となる今年度は,まず,現実の企業や地域社会が求める高度情報化人材が具備すべきITスキルの今日的な内容および水準について,アンケート調査を実施することによって把握し,その結果を分析・考察した。近年,電子商取引(EC)の一分野として,企業間電子商取引(B2B)の進展が顕著である。B2Bは,企業の生産や販売活動に必要な資材・部品等の取引を企業間で電子的に行なうものであり,自動車や電気機器など製造業に限らずサービス分野にも拡大している。そこでは,多くの企業が他社との連係や協力関係を構築・強化している。インターネットを中心としたこのような企業間関係の変化と企業情報システムの現状分析を通じて高度情報化人材育成教育プログラムのグランドデザインを検討した。また,情報化人材の育成に積極的に取り組んでいる教育機関や地域社会等のケーススタディも実施した。とくに鹿児島高専において開催された教員研究集会での『学生派遣によるIT教育支援の効用と問題点』の報告は,実際に情報化人材を地域経済社会との連携のなかでどのように育成すべきか,そしてどのような教育プログラムを設計し実行することが現実的に可能なのかについて検討するうえで有意義な示唆を与えるものであった。今年度後半からは本教育プログラムの具体的な設計作業の段階に移行した。本教育プログラムの本格的な実施には,参加する学生が有する情報処理に関する知識や技術といったITスキルをあらかじめ一定の水準に保つ必要がある。そのため,参加する学生には,平成11-12年度科学研究費・奨励研究(A)にもとづく筆者の研究成果であるイントラネット構築体験システムによる学習を事前に義務づけることで対応したい。今後は各教育機関や地元企業,各種団体に本教育プログラムへの参加と協力を要請し,次年度には本教育プログラムの試行と評価作業を実施する予定にしている。
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