本研究は、大学入学者選抜時における受験者の進路選択の意思決定支援システム開発をめざし、下記の調査・分析を行っている。 1 大学受験時の意思決定方略と学部適応度との関連の定量的な把握を目的とした質問紙調査 2 不適応を生じさせる意思決定のミスについて検討することを目的とした不適応事例の面接調査 3 大学入学者選抜時における受験者の意思決定過程のモデル化と進路支援システム構築 研究初年度である本年度は、高校生3年生の大学進学意識について把握することを目的とし、大学入試センター研究開発部で平成11年度から13年度にかけて行われた、共同研究I「大学入学者選抜における評価の標準化に関する研究」中で得られたデータについて、"進学校における大学受験に関する意識"という観点から再分析を行った。 分析結果については、日本行動計量学会第30会大会において発表し、また論文としてまとめたものを「進路指導研究」に投稿した。分析の結果、性別、成績といった要因が、進学校の高校3年生の進路選択、受験行動に影響を与えていることが明らかとなった。主な知見は、以下の通りである。 1 女子の方が自分の成績や多様な入学試験が行われているかなどの、より合格可能性を重視した大学選択を行っている。 2 男子は大学の偏差値、自分の成績、大学の社会的評価において全ての成績レベル間で相対的に成績の高い方がこれらの選択基準を重視するといった差がみられ、女子よりも成績要因の影響が顕著である。 3 大学入試の容易化が進んでも、競争型の受験システム内に位置する限り、自らの合格可能性が重要な意思決定要因である。
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