研究概要 |
本研究の目的は,聴覚障害児における算数アルゴリズムの正当化の質の変容とその変容への教師の働きかけを,正当化の根拠となる文脈の共有プロセスを検討することで明らかにすることである. 平成14年度は,次の研究課題(1)〜(3)の解決に取り組んだ. 目標(1)正当化の根拠となる文脈とその共有プロセスの記述方法の開発 目標(2)記述された正当化の根拠となる文脈とその共有プロセスの分析方法の開発 目標(3)正当化の根拠となる文脈の記述と分析 目標(1)については,文献研究及び聾学校及び普通学校における教室観察を行い,正当化の根拠となる文脈とその共有プロセスの記述方法を,いくつか今後見直さなければならない問題を内包してはいるが,原案を作成した.その成果の一部はろう教育科学会の学会誌「ろう教育科学」に受理され,掲載が決定している(「数学のコミュニケーションにおける構造的意味の正当化の類型」). 先の原案に基づき,目標(2)について,文献研究を行い,記述された正当化の根拠となる文脈とその共有プロセスの分析方法を作成した.その成果の一部は日本数学教育学会の第35回数学教育論文発表会の課題別分科会「言語とコミュニケーション」で話題提供者として発表した(「聾学校の算数・数学の授業におけるコミュニケーションの重要性」).目標(3)については,授業用手話データベースの作成など資料の整理を行い,正当化の根拠となる文脈の記述と分析を開始した.
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