本年度は、発達障害児のコミュニケーション行動の形成について、1)言語反応型の形成、2)言語反応型の機能分析に関する研究を実施した。言語反応型の形成に関しては、刺激等価性の枠組みに基づいて、選択反応型言語と分化反応型言語の生成過程の検討を行った。具体的手続きは、3名の自閉性障害児を対象に、意味対象となる刺激(具体物・絵・写真)と言語反応型(文字・音声など)との対応関係の成立を促進する条件について見本合わせ課題を用いて検討した。その結果、見本合わせ課題における見本刺激に対応する分化反応の形成、および正比較刺激を選択したときに対応関係に基づいた分化結果を随伴させる方法が、対応関係の成立を促進することが明らかになった。言語の機能分析に関する検討については、2名の自閉性障害児を対象として、対象児童が好む遊び(「ままごと」)を使用して、その遊びに含まれる動作に付随した音声(例えば、口に果物模型を運ぶ動作に付随した「あーん」という音声)の表出を促すための指導を行った。音声表出可能になった後に、その音声に関する機能分析を行った。具体的には、音声表出に対して逆模倣フィードバックを付随する指導者とフィードバックを付随しない指導者の間で、その音声の生起頻度に違いが存在するかどうかについて検討を行った。結果として、音声フィードバックを与える指導者において相対的に高い反応生起率を示した。この結果から、音声が指導者の音声フィードバックによって維持しているオペラント反応として機能していることが明らかになった。
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