1.本研究の意義 AABRの普及により、乳児の聴覚障害の有無が生後すぐにわかるようになってきた。しかし、聴覚障害が発見された乳児の保護者を支援する体制がまったくできていないのが現状である。聴覚障害乳児とその保護者を支援する療育システムの構築が望まれるが、そのためには聴覚障害が発見された後、保護者はどのような支援を望んでいるのか、また既存の療育及び教育機関にどのようなことをしてほしいのかについて、明らかにする必要がある。 2.文献調査 まず、聴覚障害が発見されてから療育機関及び教育機関で何らかの支援を受けるまで各自治体でどのような取り組みがされているのかについて、文献調査を行った。その結果、各自治体によってさまざまな試みが行われているが、保護者が安心して聴覚障害を持つ乳児について相談できる機関へたどり着くまでには、かなりの時間がかかり、その間保護者は多くの不安を持ちながら生活をしているようであった。 3.質問紙の作成 そこでまず、障害発見から教育開始までのプロセス、その過程で不満に思う点、どのようなアドバイスがほしかったかなどの質問から構成され、現在の療育システムの現状と改善すべき点を明らかにするための質問紙を作成した。 4.質問紙調査 現在ろう学校や難聴幼児通園施設に子どもを通わせている保護者に対して、質問紙調査を行った。その中で、聴覚障害を持つ乳児の療育に関して、どのような選択肢があり、どのような方法が選択肢としてあるのかについて、公平に情報を提供する人や機関がないことが、保護者を不安にしていることが明らかになった。現在、質問紙の回収を行い、より深く分析している最中である。
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