研究概要 |
主に学習動機に関しては,日本の高校生英語学習者を対象とした調査を行い,16校から得られた977有効回答のデータセットと,15校から得られた1,177人の有効回答のデータセットについて,分析を行った。 前者の研究成果はLanguage Education & Technologyにおいて発表し,学習動機の構造についてモデルを検証し,学習内容についてこれを重視する「充実・訓練志向」と軽視する「自尊・報酬志向」が学習方略の使用および学習成果に与える影響について論じた。 後者の研究成果は『第28回全国英語教育学会神戸研究大会発表論文集』およびAnnual Review of English Language Education in Japan(ARELE)において発表し,「充実・訓欄志向」と「自尊・報酬志向」をより包括的にとらえる「学習動機の2要因モデル」に基づき,モデルの妥当性と学習成果による学習動機の違いについて論じた。 また,主に学習成果に関しては,同様に日本の高校生英語学習者を対象とした調査を行って38校から1,584有効回答を得たデータセットを用い,分析を行った。その成果はSTEP Bulletinおよび『広島外国語教育研究』において発表し,学習成果と学習者内要因の関係を論じるとともに,学習成果測定のために言語テスト問題を古典的テスト理論と項目応答理論を用いて分析し,基礎データを示した。 その結果,特に性差による個人内要因の傾向の違いの程度が実証され,学習動機を分析するにあたっての知見が得られた。また,正確に学習成果を測定するという観点からは,項目応答理論を用いてテスト受験者集団に依存しないパラメータ推定を行うことに成功し,本研究で完成させるべき言語テストについての貴重なデータを得ることができた。
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