本科研の第1年目である本年度は、研究計画にしたがって、米国の歴史教科書を中心とする社会系教科書や関連文献の収集とその分析を主に行った。 主に収集しようとする学校用教科書(主に教師用)は、一般図書とは販売ルートを異にするため、入手に時間がかかり、まだ発注中の文献もあるが、事前に予定していた出版社の教科書はおよそ収集でき、現在、継続的にその分析作業をすすめている。 また、教科書の編集には、各州のフレームワーク・カリキュラムも重要なファクターとなるため、それらについても継続的に収集・分析を進めている。 11月に予定していた現地調査については、諸般の事情で、3月下旬に時期を変更し、社会系教科教育の専門研究者や、教育行政関係者および中学校・高等学校での教員に対してのインタビュー及び、資料収集を行う予定である。 米国でのいわゆる大手教科書会社の出版する教科書は、従来型の教科書内容である場合が多かったものの、いくつかの教科書では新しい試みを組み入れており、来年度以降は、これらの教科書に附属している教材集やアクティビティ集なども含めた検討を継続していく予定である。さらに、教科書の記述としてはまだ具体的に登場していない、テロの問題やイスラム文化等の扱いの変化などについては、現地調査の際に、現場教師などに確認する予定である。 最後に、本年度は、本研究の途中経過として、日本グローバル教育学会(2002年9月:同志社大学)のシンポジウムにおいて、「多文化学習からアプローチするグローバル教育」として提案・発表している。
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