研究概要 |
本年度の研究目的は,高校生(正確には高専1・2年生)を対象に昨年度予備的に実施され,スキル獲得における効果が確認されたライフスキル獲得介入プログラムを改訂することであった。昨年度実施された予備介入及びその後の研究の結果,参加者の発達段階をより適切にプログラムに反映させるならば,介入対象者は高校生よりも中学生が適当であるとの判断に至った。それは,スキル獲得に対するレディネスという点では高校生年代が勝るものの,ライフスキルの日常生活への般化を中心に考えた場合,可能な限り早い段階で介入が行われるべきであるという点にある。非常に多くの情報が氾濫する現代では年代が上がるほどスキルの般化が困難であり,日本でも諸外国のプログラムと同様な傾向が認められたからである。 そこで本年度は,A市内の2つの中学サッカー部に協力を求め,計4回のレクチャーをそれぞれ本研究者が毎日もしくは,1週間に2度のペースで実施した。実際の現場への介入であることから統制群の設置は困難であり,参加者37名全員を対象に介入が実施された。介入内容は昨年度作成されたプログラムのなかで,ライフスキルへの般化過程についてさらに改良したものを用いた。 本研究の結果,部活動場面と学校生活場面のそれぞれに向けた目標設定に関する調査については,昨年同様に介入の効果が窺われた.また,時間的展望については白井(2000)による尺度をもとに調査を行った結果,各時制(過去・現在・未来)に対する情緒的態度に変化が認められ,プログラムの効果が推測された。しかし,本年度のもう一つの目的であったサッカー指導場面以外でのプログラム作成は未だ完成に至っておらず,来年度への課題となった。
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