研究概要 |
本研究の目標は,データの背後にある複雑な非線形構造を探索・抽出するための道具として,ノンパラメトリック回帰,とくに平滑化スプラインが有用であることを実証するため,その方法論を整備し,これを案装したアプリケーションを開発することであった。 本年度に実施した研究内容と今後の展開は以下のとおりである。 1.最大周辺尤度法とその近似による平滑化パラメータの選定方式について,事例研究やシミュレーションを通じて推定性能ならびに近似精度を評価した。具体的には以下の状況を取り上げた。 (1)加法回帰モデルにおける仮定の妥当性評価 応答のベキ変換による加法モデルの拡張を考え,ベキ加法化平滑化スプライン・モデルやベキ重み付き平滑化スプライン・モデルなどを提案した。ベキ変換パラメータを分散および平滑化パラメータと同時に近似最大周辺尤度法によって選定することにより,加法性や分散均一性などの仮定についての妥当性診断を可能にした。 (2)非正規型ノンパラメトリック回帰問題 2値応答やPoisson応答などの状況でのノンパラメトリック回帰モデルについて,正規分布からの乖離が大きくなるほど近似最大周辺尤度法の長所がより生かされることをシミュレーションなどで例証した。 2.今後の展開として,周辺尤度の近似について整理し理論的な裏づけを行うとともに,提案した平滑化パラメータの選定方式を実装した容易に利用することのできるソフトウェアの開発・整備を行う計画である。
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