研究概要 |
k個の正規分布N(θ_i,1),i=1,...,kの平均θ_1,...,θ_kに対して不等式制約としてsimple order(θ_1【less than or equal】...【less than or equal】θ_k)を仮定する.このとき,サンプリングを用いた,(1)最尤推定量のバイアスの推定,(2)情報量規準に基づくモデル選択の改良,についてシミュレーションによって考察した.なお,シミュレーションで使用するサンプリング法は,14年度の研究において考察した3種類の方法である.方法1は各母集団における経験分布関数からサンプリング,方法2は不等式制約の下でのθ_1,...,θ_kの最尤推定量の構成結果に対応して構成する各母集団における経験分布関数の重み付き和からのサンプリング,方法3は各母集団のデータを一つにまとめることによって構成する経験分布関数からのサンプリングである. まず,最尤推定量のバイアスの推定のシミュレーション結果では,両端の平均θ_1,θ_kに近くなるほどバイアスが大きくなることが分かり,この傾向は真の場合と一致することが確かめられた.しかし,真のバイアスより小さく推定されており,この不偏推定できない原因を考える必要がある. 次に,サンプリング法を用いた情報量規準に基づくモデル選択では,情報量規準の計算に伴うバイアスを不偏推定できるように,14年度に提案したサンプリング法を改良できていない.そこで,サンプリング法は現在提案しているままでモデル選択をロバストに行うアプローチとして,最尤推定をロバストに行うように改良されたβ-推定量を用いて定式化までを試みた.
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