研究概要 |
本研究の目的は,画像圧縮における高性能ベクトル量子化器の設計である.本年度は主に,量子化器の画像タイプ依存性を重視した立場からの設計アルゴリズムについて考察した.汎用量子化器のひとつとしてラティスコードブックの有効性が報告されているが,ここではそれを,特定タイプ画像から抽出された訓練ベクトルに基づいて修正することで,そのタイプに特化した量子化器を構築する.概要は以下の通りである. 所与のラティスコードブックCLを用いて,あるタイプの画像を量子化することを考える.ラティスコードブックは汎用性に優れていると報告されているが,入力画素ブロックによっては,CLで定められたコードベクトルを以ってしても大きなひずみを生じることがある.この様な入力ベクトルは,そのタイプの画像に特有であると考えることができるだろう.本研究では,こうした入力ベクトルを集めたものを(そのタイプ特有の)学習ベクトル系列Esと考え,コードブック学習アルゴリズムLBGの入力とする.LBGアルゴリズムのもうひとつの入力である初期コードブックは,Es中のCLの基礎ベクトルから構成し,これにより得られるコードブックをCIとする.こうしたCLとCIを結合C^*を,このタイプに特化されたコードブックと定義する.C^*はもはやラティスを構成しないことから,これを半ラティスコードブックと呼ぶことにした. 以上の基本アルゴリズムをもとに,来年度は詳細な実験を行い,その考察結果を踏まえてアルゴリズムの改良を進めながら,コードブック設計システムの完成を目指す.具体的な改良点としては,CIの学習において,データマイニングにおける高次元データのクラスタリング手法の導入を考えている.
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