研究概要 |
平成14年度は,現在までに単一プロセッサ上で実装されているEGGシステムを基本として,これを並列EGGシステムへと拡張した. 従来のEGGは,Sunワークステーションの単一プロセッサ上で実装されていたため,より大規模な回路合成実験を実施することがメモリや計算速度の観点から困難であった.そこで,従来のEGGを並列EGGへと拡張を行った.ここでいう並列EGGは,従来のEGGとは質的にも異なる並列進化プロセスを実現する.すなわち,並列EGGにおいては,いわゆるアイランドモデルのように,複数のクライアント(アイランド)上で,それぞれ異なるパラメータによる構造進化を行い,適切なタイミングで個体データを交換(移民)することにより,全体としてグラフ構造の多様性を維持しつつ協調的な進化を実現する.これにより,メモリおよび計算速度の観点から,単一プロセッサ上では実装不可能であったような多数の個体を用いた進化プロセスが実現され,生成される演算回路の質と収束速度の大幅な改善が期待される.このような並列EGGシステムを現有のSunワークステーションネットワーク上において,C++言語およびMPI (Message Passing Interface)やPVM (Parallel Virtual Machine)などのメッセージパッシングライブラリを用いて実装し,動作試験を実施した.さらに,PCクラスタの0SであるLinux上においても動作試験を実施し,正常に動作することを確認した.
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