研究概要 |
本研究では,3次元形状が色などの属性,あるいは時間変化など4番目の座標を伴う場合に,4次元形状として設計・解析・可視化を行う手法を開発することを目的としている.映像効果として用いられる3次元形状モーフィング,医療分野においてCTやMRIなどから得られるボリュームデータの解析,そしてそのコンピュータディスプレイ上の表示などは,それぞれ4次元形状の設計,解析,可視化の応用例と考えられる. 本年度は,特にボリュームデータの解析とその可視化についてのさまざまな手法を実現させた.本研究では,ボリュームデータに含まれる等値面の生成,併合,分岐,消滅などの変化を,微分位相幾何学の道具を用いて骨格グラフとして抽出し,等値面のデータ内の振る舞いを抽象データとして取り出す.さらに,この骨格グラフを簡単化することで,ボリュームデータに含まれる大局的な形状構造を頑健に抽出することに成功した.可視化に際しては,この大局的な形状構造を強調するレンダリング手法(伝達関数設計法)を新たに考案し,これに基づきより観察者にわかりやすいデータ表示を実現した.また,先の骨格グラフは,ボリュームデータに含まれる等値面の空間における配置(埋め込み)の情報をも表現できるため,入れ子になっている2つの等値面を表示する場合,内側の等値面を外側の等値面より強調してわかりやすく表示するなどの,データの空間構造を意識した可視化を行うことができる. これとは並行に,形状を捉えるための最適な視点を計算する基礎的なアルゴリズムを考案,3次元形状(具体的には地形形状)を対象として,アルゴリズムの実装を行い,ある程度の効果を得ることを確認した.今後は,この最適視点計算をボリュームデータなどの4次元形状にどのように適用するかが課題となる.
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