研究概要 |
本研究では,3次元形状が色などの属性や時間変化など,4番目の座標を伴う場合,1次元高次の4次元のかたちとして統一的に扱う手法の開発を目的とする.特に,4次元形状の1.設計,2.解析,3.可視化という観点から、対象形状を考察・モデル化していく.今年度の成果として以下のものが得られた. 1.4次元形状の設計 n次元単体的複体として表現されている形状の間に(n+1)次元単体を充填することで,形状の1次元高次の補間を作成するモデルを定式化した.具体的には,3次元メッシュの間に四面体を充填し補間形状を生成することで,4番目の座標を持つ4次元形状を生成するアルゴリズムを考案し,その基礎部分に関して実装を終了した.将来的には,補間形状の最適化や,補間対象の形状頂点間の対応に制約を付加する機構を実現予定である. 2.4次元形状の解析 4次元形状としてボリュームデータを例に取り,ボリュームデータのスカラフィールド(密度)値に伴う1次元低次の等値面の大局的位相変化を抽出するアルゴリズムを開発している.その際に,データのノイズや等値面の変化が退化している部分を含むデータを頑健にかつ高速に解析するための,適応的四面体分割手法を定式化し,実装を行った.これにより,ボリューム内の複雑な構造を考慮に入れた,可視化手法への大切な橋渡しが実現できた. 3.4次元形状の可視化 2.で抽出された,等値面の位相変化を用いて,ボリューム形状特徴を強調する可視化手法にさらに改良を加えた.具体的には,ボリュームレンダリングの際に,ボクセルの色や不透明度を制御する伝達関数を,スカラー値だけではなく等値面の位相変化を反映した属性値に依存する多次元伝達関数に置き換えることによって,可視化結果の劇的な質の向上を実現した.これにより等値面間に入れ子構造が存在する場合も,内外等値面を独立に強調することが可能となった.
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