本年度はグラフの本型埋め込み及びそれに関連するレイアウトについて考察した。 グラフの本型埋め込みは、スタックを用いたグラフのレイアウトの問題と等価であることが知られている。また、スタックではなく、キューを用いたグラフのレイアウトも知られている。これらの研究の動機はいくつかあるが、特に相互結合網のレイアウトに関しては、Rosenbergにより提案された、耐故障性を考慮したプロセッサアレイのためのDIOGENESアプローチが有名である。これらのレイアウトの問題では、レイアウトに必要な最小のスタックの数(スタックナンバー)、最小のキューの数(キューナンバー)を求めることが主たる目的の一つとなる。 本研究では、まず反復ラインダイグラフのスタックレイアウト及びキューレイアウトに関して考察した。そして、反復ラインダイグラフの基のダイグラフだけに依存し、ラインダイグラフ演算の反復回数に独立な値が、スタックナンバー及びキューナンバーの上界になっていることを明らかにした。また、これらの結果からde Bruijnダイグラフ、Kautzダイグラフ、butterflyネットワーク、wrapped butterflyネットワークのスタックナンバー及びキューナンバーの上界がそれぞれ得られ、そのうちのいくつかは既知の結果を一般化したものになっている。 また、一般化de Bruijnダイグラフ及び一般化Kautzダイグラフのレイアウトに関しても考察し、一般化de Bruijnダイグラフのキューナンバー、一般化Kautzダイグラフのスタックナンバーがそれぞれ、次数以下、次数+1以下であることを証明した。これらの上界は頂点数に独立であり、一般化de Bmijnダイグラフ(一般化Kautzダイグラフ)が、キューレイアウト(スタックレイアウト)に関して望ましい構造をもっていることが分かった。
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