3DCGデータと、利用者の知識情報を一つのデータベース(DB)に統合化し、時空間情報を共有・検索できる「時空間情報の知識ベース」の構築方法論は、DB研究の中でも注目を集めているテーマである。本研究では、知識情報と3D形状データとを明示的に結びつけるモデル化手法によって実現手法を提案し、高度な空間共有システムの実現性を示した。この具体的なモデル化手法として、「Ontology-Mediator-Raw-data三層構造スキーマ」の提案を行った。 一般にCGなどで立体形状データを作成する際には、出来上がった形状データだけが保持され、設計者の意図を共有することが難しい。一方、知識情報は利用者の要求やレベル、利用目的等に応じて異なる。そこで本研究では、「知識情報=Ontology」「三次元形状データ=Raw-data」として、スキーマ上にこれらの情報を統合化してモデル化することにした。また、「知識情報」と「三次元形状データ」とをデータベース上で明示的に結びつけるentityとして「Mediator」を導入するモデル化を行った。Mediatorによって物体固有の情報も表現できるため、「個々には異なるが総体として同じグループに属する」物体を検索することが可能となる。 本モデル化手法の応用事例として、「高度コミュニティ空間」システムを設計し、実装の上、評価を行った。「高度コミュニティ空間」とは、データベースによって空間共有・空間検索を行うシステムである。実装手段として、平成14年度はDBMSにはSQL Server 2000を、表示ツールとしてOpenGLと3ds maxのMAX Scriptを用いたシステムを構築した。この結果、「知識情報」と「三次元形状データ」をデータベース上に構築し、仮想空間として共有する「高度コミュニティ空間」システムの実現性が示された。
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