3DCGデータと、利用者の知識情報を一つのデータベース(DB)に統合化し、時空間情報を共有・検索できる「時空間情報の知識ベース」の構築方法論は、DB研究の中でも注目を集めているテーマである。本研究では、知識情報と3D形状データとを明示的に結びつけるモデル化手法によって実現手法を提案し、高度な空間共有システムの実現性を示した。本モデル化手法の応用事例として、平成15年度の成果として、昨年度の成果に引き続き、「高度コミュニティ空間」システムを設計し、実装の上、評価を行った。 具体的には、(1)共有仮想空間内において、物を「しまう」など、単なる座標の変更の背後にある「操作の意図」を表現するモデル、(2)オントロジを用いて仮想空間を管理するモデル、(3)オントロジを統合することによって、異なる仮想空間データを相互利用できる手法、などのモデル化手法を導入した。これらの方法によって、単に仮想空間を構築するだけでなく、その背後にある「意味」や「意図」を明示化し、共有できる仮想空間を実現した。 加えて、平成15年度に新たに試みた応用分野として、PET画像データベースの構築手法に対して、同様の「知識-存在に関するエンティティ-3次元画像データ」のモデル化手法を適用した。PET画像は、CTやMR画像と本質的に異なり、画像内に生理学的・病理学的情報を含んだ新しい画像データで、読影に際して専門的な知識を要求する。これに対し、本手法によって、単にPET画像(=3次元画像データ)を蓄積するだけでなく、読影時の所見情報(=知識+存在に関するエンティティ)も登録しておくことで、後に診断支援となる検索を行うことのできるPET画像データベース構築手法を提案した。
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