平成14年度は、UML図のうちステートチャート図(以下SC図と略す)に着目し、SC図の間の依存関係から、SC図の変更順を導出する手法を考案した。 まず、2つのSC図の依存関係を次のように定義した:SC図AのアクションがSC図Bにおけるイベントであるとき、かつそのときに限りBはAに依存する。すなわち、BがAに依存するとは、Aの動作の結果、Bが動作するということである。この定義の下で、SC図の間の依存関係を表す有向グラフが構成される。次に、得られた有向グラフの強連結成分をすべて検出する。有向グラフにおける強連結成分の検出アルゴリズムはよく知られている。ここで得られた強連結成分は、相互依存する図を最大限にまとめたものといえる。さて、強連結成分を改めて一つのSC図とみなすとき、依存グラフはDAG、すなわち、有向木の複合形となる。 依存関係が有向木で表されるように再構成されたSC図の群は、SC図の変更順を明確に与える。基本的には、有向木の矢印の向き、すなわち、動作の影響元から影響先へと変更する。ただし、有向木の複合形であるという点は注意を要する。入力枝を二つ以上もつような節点(図)では、入力となる図の変更の全てを待たなければならない。このような考え方により、依存関係が有向木の複合形で表されるSC図の群に対し、ペトリネット的な変更順のグラフを導出することができる。 なお、現在、上記内容に関する雑誌論文の投稿準備中である。
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