研究概要 |
本研究では,アドホックネットワークにおいて複数のエージェント(モバイルノードで実行されるプロセス)間のマルチランデブチャネルの動的な確立が記述可能な言語LOTOS/Mを提案すとともに,無線モバイルアプリケーションの設計開発への適用について研究を行った. LOTOS/Mでは,システムの動作仕様は互いに独立に動作するモバイルエージェントの集合として与え,あるエージェントの対が互いに通信可能な状態にあるとき,LOTOS/Mで導入した新機能:(1)指定したゲートでの同期相手の募集,および(2)募集されている同期に対する参加,により,指定したゲート(チャネル)を介した同期関係を動的に確立することができる.同じゲートを用いた同期募集・参加を繰りかえすことにより,マルチランデブ(複数並行プロセス間で指定された条件が成立する時に同期通信によりデータ交換を行う機構)を行うためのチャネルを複数のエージェントの間に段階的に確立できる.あるエージェントが他と通信できない状態に陥った時には,そのエージェントだけが同期関係を解消し,他のエージェントと独立に動作できる.LOTOS/Mで記述された動作仕様をJavaプログラムに変換するコンパイラを試作した.幾つかの例題の記述,実装実験を通して,典型的な無線モバイルアプリケーションがLOTOS/Mにより容易に記述でき,作成したコンパイラを用いて効率良く実装できることを確かめた.
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