研究概要 |
本研究ではWWW上でのセッション管理を実現するための新たな機構の提案を行う.提案する機構によってコンテクストデータの安全性,信頼性を高めたWWWクライアントサーバシステムが構築できるようにする.具体的には,ユーザが不正にコンテクストデータを操作することを防ぎ,また,通信トラブルによるセッション中のデータ消失をも防ぐ.更に,提案するセッション管理機構を応用して,WWWへのアクセス機能の付いた携帯電話から利用するクライアントサーバシステムの応答性を向上させることを試みる.最終的に,より安全で高速なサービスを提供するWWWのための基盤技術の開発を目指す. これまでにもWWW上でのセッション管理を行うシステムは提案されている.例えば,Webコンテンツを記述するHTML言語の機能を利用する「引き数の引継ぎ手法」,HTTPクッキーと呼ばれるWWWブラウザに実装された機能を利用する「クライアント側クッキー手法」「サーバ側クッキー手法」などである.しかし,これらの手法はデータの安全性や信頼性を必ずしも満たすものとはなっていない.本研究はそれらを十分に満たすことが可能である. 平成14年度は,既に提案しているセッション管理機構のプロトタイプを元にして,大規模なシステムにおいても利用可能なセッション管理機構を本格的に設計し,実装することを目的とした.そのために,実用的な環境におけるセッション管理手法同士で比較検討を行うための実験環境を整備した.また,提案するセッション管理機構が持つ性能について定性的な分析を行い,従来から提案されてきたセッション管理機構に対する優位性を明らかにした.
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