研究概要 |
本研究では、今後増加するであろう並列アプリケーションに対する、台数効果達成のためのプログラムチューニング自動化を目指しており、(a)共有メモリ向けオブジェクトレイアウトの自動最適化と、(b)適応的オブジェクトによる効率的分散オブジェクト実装の二つのアプローチから研究を行っている。 まず、(a)に関しては、最先端のJava処理系のメモリ管理機構との統合を行い、最大30%もの件能向上を果たすことができた[論文1,2]。本機構を本格実装するに当たりportabilityの向上のためbytecode変換技術を用いた実装手法を採用した。また、bytecode変換に関する知見を発展させる形で、現在、bytecode変換ツールCusapiの提案ならびに実行を進めており、現在論文として投稿中である。 (b)に関しては、PCクラスタなどの分散環境で集合などの共有データを扱うための枠組みとして分散コレクションを提案し、分散コレクションシステム上でデータ再配置ならびにキャッシュ機構の自動化を目指している(現在投稿中)。集合要素データへのアクセスについては、プログラマは共有メモリの時と同様に、排他制御区間を設定してアクセスを行い、プログラマ自身がキャッシュ操作を明示的に行う必要がない。代わりに、重要な変数やオブジェクトの性質の変化についてのヒントを、我々の提案してきた局面変数の形で記述してもらう。システムでは、プログラマからのヒント情報を基に、局面毎のオブジジェクトの性質を解析し、キャッシュに適した変数と遠隔アクセスすべき変数を分離、効率的なキャッシュ機構の自動化を行う。本解析では、昨年度から提案している局面解析系が利用することで、オブジェクトの性質の変化を捉えた最適化の実現が目指している。これらのシステムは、現在試験評価中であり、購入したPC群や大学の演習室を利用した実験を行っている。 また、研究(b)の延長として、分散環境における効率的XML処理Nanafusiの研究を行っており、その成果は論文3ならびに投稿中論文としてまとめおり、処理系も公開中である。
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